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横川御柱木遣唄

昭和61年(1986)
御柱祭 木遣集
横川諏訪神社 二ノ柱 一ノ瀬区


木遣り唄

(伊良沢 七五三掛 曳き出しの時)

さて 皆様よ どなたにも
不調法なる 私が ちょっと御礼申します
ここは伊良沢の名所なり

春はうららの 四月より
紅葉もえる この日まで
長くここにて お休みを
きょうは幸 吉日で
あまたの氏子が 集りて
しめ掛け縄をば とりはずし
男綱と女綱を とりつけて
エンヤの声と もろともに
諏訪の社の神と なりますぞえ

ヨー エンヤーノサ



平成四年度(1992)
御柱木遣唄集
辰野町 川島 一ノ瀬区

御柱祭 木遣唄集

さて 皆様よ 皆様よ!!
不調法なる私が 一つお話いたします
(本話に入る前句)


諏訪の湖水で申すなら 鯉の大将 大なごん
なまずの家老 きび悪さ
海老や ざこうのつわものも
新酒一杯 飲みたいな
ヨー エンヤノサー

あれに見える あねさまは
色よき故に 着飾りて
かすをまつめて よく見れば
にごい油で つやを出し
今は世ざかり やりざかり
食い気ざかり やりざかり
ヨー エンヤノサー

御柱様の 本綱は誰がひくよと 問いたれば
血気盛りの 青年が
うら綱まわりは 誰がひく
子供しゅうか 中年か 追い掛け綱は誰がひく
追い掛け綱は酒酔いがひく
とかく酒呑みは後ひきだ
ヨー エンヤノサー

御柱様の 出処は 伊良沢沢の 大木で
御名は何よと尋ぬれば
御名はお桂(かつ)と申します
枝ぶり 素性良き故に
あまたの氏子にみたてられ
日月 定めて 伐り落とし
一角 二角 三角に
四角 五ひらに 面をとり
小野の小町 おかれぬと
かんじん処に穴をあけ 出しを飾り 綱をつけ
明神様へと 嫁にやるぞよ
ヨー エンヤノサ一

ハアー アアー
力を合わせて おねがいだ一!!

ハアー アー うらからもとまで
おねがいだー!!

ハアー アー 綱にとりつき
おねがいだー!!
(元気に呼ばれること)



ずくし集

「一から十まで申すなら
一は万物 始めなり 二はにこにこ笑顔
三はさかずき差し上げます
四ッ 世の中良いように
五ッ 泉のわくように
六ッ 無病で 息災で
七ッ 何事もないように
八ッ 屋敷を広げます
十で 所の氏子様 納めますぞえ
ヨー エンヤノサー

「焼き物ずくしで申すなら
小野の平らじゃあ石をやく
赤羽平らじゃあ瀬戸を焼く
おらが村では炭を焼く
おらがとなりのバアさんは
焼き餅やくとて手を焼いたぞえ
ヨー エンヤノサー

「立ちものずくしで申すなら
一月は門に松が立ち 二月は初午 馬が立ち
三月は節句で雛が立ち
四月八日は シャカが立つ
五月五日は鯉(のぼり)立ち
六月ぎおんでのぼりたつ
七月七日にゃ竹を立て
八月九日にゃ秋風吹いてほこり立つ
ハアー
十月十一日にゃ御柱様がお立ちになるぞえ
ヨー エンヤノサー

川 カワずくしで申すなら
一山越えれば 小横川 小さな川なら横川川
はるか向こうは 天竜川 大きい川なら千曲川
もとからむけるのは竹の皮
アー ア一 御柱様でむけるのは
手の皮だぞえ
ヨー エンヤノサー

「お山談義で申すなら
三国一の富士の山 御岳さんに恋をして
乗鞍山になりたいと 度たび文を槍ケ岳
返事のないのにゃ 駒ケ岳
腹は越中の立山よ
浅間山ではないけれど
胸に煙の絶えがないぞえ
ヨー エンヤノサー

「忠臣蔵談義で申すなら
忠臣蔵 ござんめい 六十有余の余市べえが
娘を売りにと祇園町
五十両のその金を 縞の財布にしたためて
夜道とぼとぼ帰り道
只世の中に 世の中に 金程つらいものはない
余市べえのきらるるも
勘平さんの切腹も 定九ろう 二っ玉にて
うだたるも皆 金の故なるぞえ
ヨー エンヤノサー



木遣音頭

向こうの山の 松の木は
うらから元まで枝だらけハァー
からすや とんびが 舞いあそぶ

今日のよき日は御柱様 七年一度の 御柱に
このような多大のお祝いを その度毎に頂いて
明神様もお喜び 我々どもも喜んで
お家ますます 繁盛を 万万歳と祈りますぞえ
ヨー エンヤノサー

さて皆様よ 皆様よ
今日の御柱 桂木も 木心よければ 見立てられ
明神様へとお嫁入り
山は木でもつ 人でもつ 愛しましょうよ
山や木を 松の緑も色深く
花見 紅葉に 茸狩り 清き流れに
木の香りハアー 信濃川島 俺が里だよ
ヤレ エンヤノサー

「さて 皆様よ 皆様よ
不調法なる私がひとつ音頭をとりましょう
俺が住む里 川島は
春は桜の駒ケ里 土手八丁の花吹雪
秋は紅葉の横川や 松茸 シメジの茸狩り
蛇石 三級 大滝と暑さ知らずの場所もある
友を慕いて 駒鳥が谷から谷を飛んでいく
姿ながめりゃ 恋心
燃ゆる思いを胸に秘め 墨すり流す 龍渓に
一筆そめて こまごまと
川島駅の玄関に 君待ちましょうの文便り
やがて白雪溶けてゆき 恋に花咲く時がくる

「さて 皆様よ 皆様よ
信濃川島下車をして 国宝観世音 初詣
渡戸の土手の八重桜
下飯は村の中どころ 松茸名所の飯沼沢
文化のかおる一ノ瀬と
花の門前 瑞光寺 薪炭産地の川上に
平和の里の源上を
すぎれば名立たる横川峡 浜の鉱山右にみて
天然蛇石を下に見る
鷲の巣 千淵 瀬戸城祉 三級 大滝 七滝と
夏なお寒し
霧の雨 ハアー 山にもあるぞよ夫婦山

「サテ 皆様よ 皆様よ
今日はめでたい横川の 御柱祭でありますよ
多くの人に見立てられ 伊良沢山の桂の木
ハアー 明神様へとお嫁入りだよ一
エンヤノサー

「サテ 皆様よ 皆様よ
横川峡で申すなら 三級 大滝 七滝や
雲にそびゆる経ケ岳 鷲の巣岩に 蛇石あり
松茸 シメジが特産で 清き流れの横川川
ハアー 天竜川へと流れいくぞよ一
エンヤノサー
(昭和49年8月25日 大和屋作)



平成16年度(2004)
御柱祭 唄集
辰野町 川島 一ノ瀬耕地
木遣り保存会

長持ち唄集

長持ち唄


1.ハアー 目出度な一 目出度の一
《ヤレヤレー》
若松様よ 《枝もな一栄える一》
ハアー 葉も茂るな一よ一
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

1.ハアー 目出度な一 目出度の一
《ヤレヤレー》
三つ四つ五つ 《七つな一重なりゃよ一》
ハアー 御目出度いな一よ一
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

1.ハアー 吹けよな一 川風一
《ヤレヤレー》
上がれよすだれ 《中のな一芸者(あの娘)の一》
ハアー 顔みたいな一よ一
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

1.ハアー 立てばな一 芍薬一
《ヤレヤレー》
座われば牡丹 《歩くな一姿は一》
ハアー 百合の花な一よ一
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

1.ハアー 諏訪のな一 湖水を一
《ヤレヤレー》
鏡に見立て 《雪でな一化粧する一》
ハアー 富士の山な一よ一
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

1.ハアー 今日はな一 日も良し一
《ヤレヤレー》
天気も良いし 《結びな一 合わせて一》
ハアー 縁となるな一よ一
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

1.ハアー 信州な一 信濃の一
《ヤレヤレー》
新そばよりも 《わたしゃな一 あなたの一》
ハアー そばが良いな一よ一
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

1.ハアー 娘な一 木のぼり一
《ヤレヤレー》
下からのぞきゃ 《大工な一 墨壷一》
ハアー ぶらさげたよ一な一
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

1.ハアー 咲いたな一 桜に一
《ヤレヤレー》
なぜ駒つなぐ 《駒がナー いさめば一》
ハアー 花が散るな一よ一
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

1.ハアー 祭な一 祭と一
《ヤレヤレー》
数あるけれど 《諏訪のな一 御柱一》
ハアー 日本一な一よ一
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》


1.ハアー どんどな一 どんどと一
《ヤレヤレー》
雨戸をたたく 《心な一 惑わす一》
ハアー 南風な一よ一
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

1.ハアー 富士のな一 白雪一
《ヤレヤレー》
朝日で溶ける 《娘な一 島田は一》
ハアー 寝てとけるな一よ一
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

1.ハアー 道中な一 雲助一
《ヤレヤレー》
花ならつぼみ 《今日もな一 さけさけ一》
ハアー 明日も酒な一よ一
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

三州 街道で かぼちゃが
つるんで すべって ころんで
べっちゃり くっちゃり
本陣 どこだい 問屋の前かい



甚句

1.ハアー わたしゃよー 《ホイ》
奥山 一重の 桜よ
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》
八重にゃよー 《ホイ》
咲く気は チョイトさらにないよー
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

1.ハアー 相撲にゃよー 《ホイ》
負けても けがさえなけりゃよ
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》
晩にやよー 《ホイ》
私が チョイト(最初)負けてやーる
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

1.ハアー 竹によー 《ホイ》
雀が しな良くとまるよ
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》
とめてよー 《ホイ》
止まらぬ チョイト色の道よ
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

1.ハアー 目出度なー 《ホイ》
目出度の 三つ四つ五つよー
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》
七つなー 《ホイ》
重さなりゃ チョイトお目出度いよ
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

1.ハアー 娘よー 《ホイ》
十七八ちゃー 嫁入り 盛りよー
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

タンス 長持ち 鋏箱
おそそ(おちゃんこ)洗いのたらいまで
《ホイ》
これほど 持たせて やるからにゃ
二度と 戻るな 帰るなよ
《ホイ》
そこで 娘の 言うことにゃ
父ちゃん母ちゃん そりゃ無理よ
《ホイ》
西が 曇れば 雨とやら
東が 曇れば 風とやら
《ホイ》
千石 積んだ 船でさえ
ハアー 風のよー 吹きよじゃー
ちょいと出て戻るよー
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

1.ハアー 娘よー 《ホイ》
(~以下 上と同じ~)

千石積んだ 船でさえ
風の 吹きよじゃ 出て戻る
《ホイ》
まして 私は 嫁じゃもの
ハアー 姑なー やりよじゃー
ちょいと出て戻るよー
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》

(南沢町長持ち保存会)

1.ハアー 娘よー 《ホイ》
十七八ちゃー 嫁入り 盛りよー
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》
タンス 長持ち 鋏箱
おそそ 洗う たらいまで
《ホイ》
これほど 持たせて やるからにゃ
二度と 戻ると 思うなよ
《ホイ》
そこで 娘の 言うことにゃ
父さん母さん そりゃ無理よ
《ホイ》
西が 曇れば 雨とやら
東が 曇れば 風とやら
《ホイ》
千石 積んだ 船でさえ
波風 荒い そのときにゃ
《ホイ》
港めざして 戻り来る
まして 私は 嫁じゃもの
ハアー 姑なー やりよじゃー
ちょいと出て戻るよー
《トコ ドッコイ ドッコイ ドッコイナット》



笠踊り

①ハアー アアアアアー (チョイサット)
ちょいと出ました一角二角 ( )
四角に足りない三角野郎が ( )
しばし御免をこうむりまして( )
何か一言読み上げまする ( )
稽古不足でおぼつかないが ( )
平にその儀はお許しなされ ( )
許しなされば 音頭にかかるでおおいさね
(らっきょう~)

②ハアー アアアアアアー
うちの嫁さん(女房は)不器量でござる
悪い所をいちいち挙げりゃ
目玉ぎょろぎょろ馬よりでかい
口はわに口三升飯ゃ食らう
胸は鳩胸梯子がかかる
へそはでべそで釣鐘がかかる
けつはたまげつタバコ盆がのさる
足はがにまた牛さえ通る
通る牛さえ横向いて通るがおおいさね

③ハアー アアアアアアー
さあて一座の皆様方よ
歌う私もままならないが
あとにゃ先輩大先輩が
あくびしながら控えてござる
やたら引っ込めなんて言われぬうちに
わしの方より座を引きまして
またのご縁で 打止めまするがおおいさね

(2番のみ)
②ハアー アアアアアア一
一にいじめられ二で憎まられ
三にゃ酒屋へ酒買いにやられ
四にはしめしをかえ(つけ)させられて
五ではごんごん泣く子を背負い
六にゃろくなもの食わされなんで
七にゃ質屋へ質置きにやられ
八ではっとばされ 九で口説かれて
十でとうとう 勤まりかねるがおおいさね

②ハアー アアアアアアー
裏の畑でなによしてござる
茄子とかぼちゃのけんかでござる
そこへきゅうりが長いつらさげて
かぼちゃこらこらおまえが悪い
茄子は低くも茄子の木は地主
ちょいとここらで仲裁いたすがおおいさね



笠踊り(八木節)

①ハアー アアアアアー (チョイサット)
ちょいと出ました三角野郎が( )
四角四面のやぐらの上で ( )
音頭とるとはおそれながら ( )
ながらながらじゃ文句にならぬ( )
ならぬ文句を何をと問えば ( )
八十ばあ様豆噛むように ( )
ぽつりぽつりと 読み上げまするがおおいさね

らっきょう らっきょう 生らっきょう
むいてもむいても皮ばかり
今年のらっきょうは特別だ
アそうかい そうかい そうかいな
アそうとも そうとも そうともだっと

②ハアー アアアアアー (チョイサット)
一つ飛行機ゃプロペラ頼り
二つ船乗りゃ舵取り(なるはが)頼り
三つみつばちゃお花が頼り
四つ嫁さん婿さん頼り
五つ医者さん薬箱頼り
六つ婿さん嫁さん頼り
七つ菜っきり包丁まな板頼り
八つ八百屋は百姓頼り
九つ紺屋は染め粉が頼り
十で父ちゃん母ちゃん頼りがおおいさね

すっちょい すっちょい すっちょいな
すっちょい バケツが十三銭
安いと思ったら底抜けだ
アそうかい そうかい そうかいな
アそうとも そうとも そうともだっと

③アー アアアアアアー (チョイサット)
見れば踊り子も疲れた様子
上手で長いはそりゃよいけれど
へたでで長いは御座のじゃまよ
後に控えし大先生が
あくびしながら待ち受けござる
へただやめろの声無き内に
わしの方から座をひきまして
まずはここらで段止めまするがおおいさね

あのんきだ のんきだ のんきだね
アのんきな商売やめられりょか
アやめたら まんまの食い上げだ
アそうかい そうかい そうかいな
アそうとも そうとも そうともなっと



平成16年(2004年)10月10日~11日に
撮影された横川御柱祭の様子
辰野町のCATV「ほたるチャンネル」の
放送画面をそのままデジカメ撮影した
(編集2014/03/30保存)


笠踊り


長持ち


横川の里を曳かれる御柱


一之御柱~四之御柱まで
揃った横川御柱


横川の諏訪神社の急坂を
曳き上げられる御柱


諏訪神社に到着した御柱
木遣り唄が響き渡る


戻る

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